4. ナイロンMXD6/ナイロン6ブレンドフィルム[MXナイロン]

ナイロンMXD6は同種の結晶性の脂肪族ポリアミドであるナイロン6およびナイロン66と近接した溶解指数(SP値)を有しており、押出、射出成形等による機械的な混合により両ナイロン樹脂と容易に混合され、シート、フィルム等の成形物を与えます。市販されているナイロン樹脂の中で最もガスバリヤー性に優れたナイロンMXD6を添加することにより、ナイロン6、ナイロン66のガスバリヤー性を効果的に高めることができます。一方、ナイロンMXD6はナイロン6を添加することにより吸水・吸湿時の白化が抑制され、さらに耐衝撃性も改善されます。
図7にナイロンMXD6/ナイロン6ブレンドフィルムのブレンド比と酸素透過率の関係を示します。ブレンドするナイロン6の選定、成形条件等に関してはお問い合わせください。

図7 ナイロンMXD6/ナイロン6ブレンドフィルムの酸素透過率とブレンド比の関係

グラフ:ナイロンMXD6/ナイロン6ブレンドフィルムの酸素透過率とブレンド比の関係。フィルムの種類別にナイロンMXD6含有量と酸素透過率の関係を示している。

測定条件:23℃、60%RH

ナイロンMXD6/ナイロン6ブレンドをバリヤー層に持つ多層フィルムは、熱水処理後も良好なガスバリヤー性、透明性を保持し、また速やかにガスバリヤー性を回復します。
表8にボイル処理による多層フィルムの酸素透過率の変化、図8にボイル後の多層フィルムの累積酸素透過量を示します。

表8 ボイル処理によるナイロンMXD6/ナイロン6ブレンドフィルムの酸素透過率の変化
フィルム構成
厚み(μm)
ヘーズ(%) 酸素透過率(cc/m2・day・atm)
処理前 ボイル
処理後
処理前 ボイル処理後の経過時間(hr)
1 10 24 72
LLDPE/Tie/Blend/Tie/LLDPE
30/10/15/10/30
3.4 6.8 11 68 30 20 12
LLDPE/Tie/EVOH/Tie/LLDPE
30/10/15/10/30
5.1 59.2 11 400 165 46 12

※Blend:ナイロンMXD6/ナイロン6=90/10
 ボイル条件:100℃、30分
 測定条件:23℃、
  100%RH(内側)
  60%RH(外側)

図8 ボイル処理後のナイロンMXD6/ナイロン6ブレンドフィルムの累積酸素透過量

グラフ:ボイル処理後のナイロンMXD6/ナイロン6ブレンドフィルムの累積酸素透過量。フィルムの種類ごとにボイル後の経過時間と累積酸素透過量の関係を示している。

ボイル条件:100℃、30分
測定条件:23℃、100%RH(内側)、
       60%RH(外側)

ナイロンMXD6系多層フィルムは、保香性、臭気遮断性に優れています。
表9に各種バリヤーフィルムの保香性、臭気遮断性を示します。

表9 各種バリヤー性フィルムの保香性、臭気遮断性
バリヤー材(厚み:15μm) 評価食品
醤油 食酢 ソース
ナイロンMXD6(延伸) ◎(1カ月) ◎(3カ月)
ナイロンMXD6/ナイロン6ブレンド(延伸) ◎(1カ月)
ナイロン6(延伸)
PVDCコート延伸ナイロン6 ◎(1カ月)
PET(延伸) ◎(1カ月)
PE
バリヤー材(厚み:15μm) 評価フレーバー
d-リモネン バニラエッセンス L-メントール
ナイロンMXD6(延伸)
ナイロンMXD6/ナイロン6ブレンド(延伸)
ナイロン6(延伸)
EVOH
PVDCコート延伸ナイロン6
PET(延伸)
PP(延伸)
PE

ナイロンMXD6/ナイロン6ブレンド(延伸):ナイロンMXD6/ナイロン6=30/70
保存状態:23℃、50%RH(遮光)
評価方法:官能試験


臭気遮断期間
◎:2週間以上
○:1~2週間以内
△:3日~1週間以内
▲:3日以内

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