知的財産戦略

化学メーカーが持続的な成長を遂げていくためには、特許・知見・ノウハウなどを含む知的財産を活用することが重要です。当社では、デジタル技術の利用によって知的財産をより戦略的に蓄積・権利化し、グループ内に展開していくために、2021年4月に知的基盤センターを開設しました。同センターは3つのグループで構成されており、特許グループは知的財産に関する戦略策定・推進を、技術情報グループは知的財産に係るデジタル活用と技術調査をしています。従来の知的財産管理業務にDXの要素を加えることで、当社の持つ幅広い知的財産データ群を研究開発活動や営業活動など、さまざまな領域で役立てることを目指しています。

図:知的基盤センターの組織図

活用例1「IPランドスケープ」

膨大な知的財産データを収集・解析する業務は、AIとの親和性が高い領域と言われています。当社は、AIを用いてニュースや市場情報と関連付けた知的財産データの俯瞰図を作成し、担当者の知見を加えた解析を進めています。このようなプロセスで作成される「IPランドスケープ」は、社会のニーズと当社固有の技術・資源(シーズ)のマッチングをはじめ、潜在的な競合分析や確度の高い顧客分析、既存製品に関する新用途の発見などに効果が期待されています。

活用例2「研究戦略策定サポート」

下図の通り、当社の特許は幅広い分野に出願されており、SDGsで掲げられた多くの目標に貢献できる技術を有しています。近い将来、SDGsも含めた当社の研究分野やテーマの妥当性評価にもAIを活用し、研究戦略策定をサポートすることで、グループのミッション「社会と分かち合える価値の創造」を実現していきたいと考えています。

SDGsの観点で抽出した当社グループの特許総価値(Patent Asset Index)(2022年12月31日時点)
グラフ:SDGsの観点で抽出した当社グループの特許総価値。SDGsの目標別に積み上げグラフで比率を示しています。
特許総価値
グラフ:特許総価値。年度ごとの特許総価値の推移を棒グラフで示しています。

Patent Asset Index(2010年=100)

出願特許の質(世界各国の特許に引用されている状況をもとにした数値)と量(件数)を総合的に評価する客観的な手法により、グローバ ルにおける技術力の強さとその影響力を可視化する指標

出所:Ernst, H., Omland, N., World Patent Information, vol. 33, pp. 34-41 (2011)