ナノレベルで活躍する

超純過酸化水素

世界シェア

No.1

微塵の汚れも残さない
半導体製造を支える“究極の洗浄液”

「過酸化水素」は、市販されている消毒液や漂白剤の多くで使用されている、とても身近な物質です。これらの共通点は汚れを落とすことですが、実は、高度なネットワーク社会を支える半導体の製造工程でも、過酸化水素が洗浄液として活躍しています。なかでも三菱ガス化学(MGC)の「超純過酸化水素」は、 “究極の洗浄液”。高集積デバイスの製造プロセスに最適の洗浄液として設計された本製品は、世界中の工場で採用されています。

01洗浄で、エッチングで。半導体産業を支える“立役者”

コンピューターやタブレット、カーナビ、スマートフォンなど、私たちの周りで使用される電子機器は日ごとに小型化しており、それにともなって、より高性能の部品や材料が求められるようになっています。なかでも機器の性能向上に欠かせないのが半導体です。半導体の回路に汚れがあると、性能が落ちるばかりか、故障や誤作動の原因ともなりかねません。そこで登場するのが、過酸化水素水※1を極限まで高純度化した「超純過酸化水素」です。半導体についたごみを洗い流すこの洗浄液は、日本で初めて過酸化水素の製造に成功した三菱ガス化学が、研究を重ねて開発したもの。洗浄のほかエッチング※2などの工程でも活躍しており、世界中の半導体産業を支える、見えない立役者と言っても過言ではありません。

  • ※1 過酸化水素水:過酸化水素の水溶液。(オキシドールも主成分は過酸化水素)
  • ※2 エッチング:半導体基板を特殊な薬液やガスにさらし、表面を加工する工程
写真:エッチングの様子

02“究極の洗浄液”超純過酸化水素のここがスゴイ!

超純過酸化水素は、半導体の洗浄に用いられています。「ただ洗浄するだけなのに、どうして特殊な洗浄液がいるの?」と思う人もいるかもしれませんが、理由はその大きさにあります。電子機器と半導体の小型化に伴って、半導体の回路は今やナノサイズの微細な構造となっているのです。シリコンウェハの製造から配線加工に至るまでに出る微細なゴミは洗い落とす必要がありますが、ナノサイズの構造を破壊せずに微細なゴミを取り去ってきれいにすることなど、普通の水では不可能です。そのため、これを可能とする超純過酸化水素は世界でも高い評価を得ており、半導体の洗浄液のほか、液晶やプリント配線板の分野でも広く使われています。エッチング液など他の用途に用いられているぶんも含め、超純過酸化水素の世界市場では、三菱ガス化学が世界トップのシェアを占めています。

  • ※ナノ:ナノメートルとも。1ナノメートル(nm)は10億分の1m、100万分の1mmに相当する。

半導体製造フロー

図:半導体製造フロー

03「清潔第一」の電子機器。その普及と発展を支え続ける

この洗浄液が、技術の発展につながる素材、部品を洗浄してきたことで、私たちはより快適に、より便利に生活することができています。手元にあるさまざまな電子機器も、その機能を存分に発揮するために、まずさっぱりと超純過酸化水素の“シャワー”を浴びてきたのです。このシャワーはこれからも、電子機器の普及を支え続けることでしょう。