エネルギー自給率 100%をめざして

地熱開発

総合科学メーカー

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火山国・日本
地球の恵みを人々へ

日本のエネルギー自給率は10%にも及ばず、電力需要に必要な資源の約90%を海外からの輸入に頼っています。そこで今、期待されているエネルギーの一つが地下に溜まるマグマの力を借りた「地熱発電」。化石燃料のように枯渇する心配のない持続可能な再生可能エネルギーです。国内に200以上もの火山がある日本は、足元に“純国産”の資源が豊富に眠っている地熱大国。三菱ガス化学は、日本のエネルギー事情改善に向け、約30年前から地熱開発に挑戦しています。

01天然ガスを掘り当て、活用する技術を活かして

三菱ガス化学が地熱開発に取り組むようになったのは、1981年のこと。三菱マテリアルとともに、秋田県鹿角市澄川地区で地熱発電所の建設を目指して調査を開始したのが始まりです。実は、三菱ガス化学は化学品の原燃料となる天然ガスの探鉱(資源を探す)と開発(資源を活かす)という2つの技術を保有しており、それらを地熱資源開発に活用しようと考えたのでした。現在、調査中のところを含め、三菱ガス化学では、5カ所で地熱開発に取り組んでいる他、国内複数個所を対象に開発可能性の検討を行っております。

地図:地熱開発拠点

02開発秘話――真上がだめならナナメから

1981年にプロジェクトを立ち上げ、1995年から営業運転を開始した澄川地熱発電所の地熱開発には知られざるエピソードがあります。この地区の地熱エネルギー源は、隣接する国立公園内の深さ2,400mのところにありました。もちろん、公園の景観を損ねるような乱開発は認められません。そこで、地上の生産基地の面積をできるだけ小さくするために、真上から垂直に掘るのではなく、一か所の基地から複数の蒸気生産井を斜めに掘る」という方法を採用。これが功を奏し無事成功! 2015年度の設備利用率は80%以上(日本全体の平均は約60%)で、国内の地熱発電所の中で安全安定操業を続けている発電所となっています。

図:地熱発電

03発電だけじゃない、地熱の恩恵を広く社会へ

地熱発電で生産された高温の蒸気や熱水の一部は、発電以外でも活用することができます。たとえば、温水プールや温泉、周辺地域の冷暖房、小規模発電、ビニールハウスや農業用水の加温、道路の融雪システムなど。地熱活用が拡大すれば資源の枯渇や地球温暖化の抑制にもつながります。そのためにも、地熱開発を鋭意推進していきます。

図:社会での地熱活用(アイコン)

番外編始まりは大正時代 “地熱利用のススメ”

地熱を利用した発電というと新しい時代の発想のようですが、その歴史を遡ると、「大正8年(1919年)海軍中将の山内万寿治氏が、熱源として地熱利用を進めるために国内を調査した結果、大分県での掘削に成功」という記録が残っています。そして、代替熱源が求められた理由が「将来の石油、石炭枯渇に備える」ためだとか。それから約100年が過ぎた現在、同じ課題を抱えながらも、開発技術が格段に進歩した日本。いよいよ、理想的な代替エネルギーに切り替えていく時代を迎えています。