製品の長寿命化や軽量化に役立つ

ポリカーボネート

生産能力

世界3位

ガラスの透明度に金属の強度
“キレイは、脆い”
その常識を覆す

ポリカことポリカーボネート(PC樹脂)は、いわゆるエンジニアリングプラスチック(エンプラ)※の一種。驚異の耐衝撃性と軽さを備える一方、ガラスのように透明で光沢があるのが特徴です。その活躍の場は広く、三菱ガス化学(MGC)が独自に開発・提供しているポリカーボネート製のシートやフィルムも、スマートフォンや自動車部品、ゲーム機などさまざまな最終製品に採用され、軽量化をはじめとする付加価値向上に寄与しています。

  • ※エンジニアリングプラスチック(エンプラ):耐熱性・強度などに優れたプラスチックの総称。主に工業用途(機械部品や電子部品など)で使われる

01透明なのに強い!?強度はガラスの200倍以上

ポリカーボネートの一番の特徴はなんといってもその耐衝撃性。ガラスの200倍以上という強度は、透明のプラスチック材料の中でもトップクラスといえます。さらに、従来の樹脂やその他の原料、例えばガラスやアルミ、鉄などに比べてはるかに軽い(比重が小さい)というプラスチックならではの強みも保有。透明な素材は脆い、頑丈な素材は重いといった従来素材のイメージを覆しました。
こうした特性から、ポリカーボネートは、割れたら困るが透明度も譲れない、そんな場所で活躍しています。例えば、警察のライオットシールド(盾)は金属製から、飛行機や新幹線の窓はガラスから、ポリカーボネート製に置き換わりました。また、軽さを活かして雪かき用スコップ、LED照明カバーなどにも使用されています。さまざまなものを「護る」ために使用されていることからも、このエンプラの強度への信頼性が読み取れます。
これに加えて、耐熱・耐寒性、耐燃焼性が高いのも特徴。寒暖の差が激しい場所など、一般的なプラスチックであればすぐに強度を失ってしまうであろう環境でも、ポリカーボネートであれば使用することができます。いうなればポリカーボネートは、とことんまで頑丈さを追求したエンプラなのです。

グラフ:ポリカーボネートの強度比較

02才色兼備の優秀素材。高い成形性も樹脂ならでは

ポリカーボネートは、その強度と柔軟性から、加工を経ても透明度や光沢を失いません。また、プラスチックの特性として、さまざまな形への成型やデザインが可能です。かつては加工の幅も限られていましたが、三菱ガス化学が1967年にポリカーボネートのシート化技術を、1971年にはその量産技術を確立し、それらの技術を国内メーカーに供与したことをきっかけとして、その後は一気にバリエーションが広がりました。
現在ポリカーボネートは、美しさが重要視されるスマートフォン(スマホ)や自動車の内装、家電製品用途で採用され、文房具や食器、雑貨など、身近な製品に広く用いられています。高い強度と成形性から、従来素材では考えられなかった加工も可能となり、デザインの幅も拡大。まさに強さと美しさを併せ持つエンプラとして重宝されています。
三菱エンジニアリングプラスチックス(株)(三菱ガス化学(株)と三菱ケミカル(株)の合弁会社)の「HDQP 高意匠性ポリカーボネート樹脂」は2017年グッドデザイン賞を受賞しています。

写真:ポリカーボネートの成形例

03病院で、空の上で。ものづくりの可能性を広げる新時代のエンプラ

優れた物性を持ち、他の原料より軽いポリカーボネートは、さまざまな製品の長寿命化や軽量化に役立ち、ひいては環境負荷の低減にも貢献する素材です。こうした理由もあって、現在、ポリカーボネートは、多様な業界、分野の既存素材に代わって活躍の場を広げています。例えば、医療機器や工業用品の筐体や部品、さらに自動車のヘッドライトカバーや飛行機の窓までもがポリカーボネートに置き換わっています。現在も新たな用途開発が進められており、その使用範囲は広がり続けています。

図:ポリカーボネートの用途例(アイコン)

番外編一流アスリート用サングラスでもポリカーボネートが一役

ポリカーボネートから作った偏光シートは、どんな場所でも見やすい、割れないというニーズに応えるメガネやサングラスに生まれ変わります。
ユーピロン®シートを使ったサングラスは、一流アスリートが愛用する高級スポーツ用サングラスにも採用されています。激しく過酷な環境において、クリアな視界と安全を確保し、選手たちのプレーを支えているのです。