業績ハイライト

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2023年度の概況

当連結会計年度の世界経済は、中国経済の低迷が長期化し、その回復ペースは想定以上に遅く、欧米景気も長引くインフレと金融引き締め政策の継続等により減速し、経済活動の鈍化に伴って財需要が低迷するなどの厳しい状況が続きました。またウクライナ危機の長期化に加え、中東地域をめぐる情勢も緊迫の度合いを高め、地政学的な緊張感も増しており、景気の先行きが見通しにくい状況が継続しました。
当社グループにおいては、円安や、電子材料などの半導体関連製品の販売が回復基調であったことなどがプラスに寄与したものの、中国経済低迷の長期化や欧州等の景気減速に伴う製品市況の下落、基礎化学品の需要低迷などの影響が大きく、全体としては厳しい事業環境が続きました。
このような状況下、当社グループは当連結会計年度が最終年度であった中期経営計画「Grow UP 2023」の基本方針である「環境変化に強い収益構造への転換」を図るべく、「競争優位(“差異化”)事業の更なる強化」「新規事業の創出と育成の加速」「不採算事業の見直し・再構築」等の施策による事業ポートフォリオ改革を推進いたしました。

売上高
グラフ:売上高5年棒グラフ

(株)JSPを第3四半期連結会計期間末をもって連結の範囲から除外したことや、メタノールやアンモニアの市況下落などが減収要因となりましたが、第1四半期連結会計期間より三菱エンジニアリングプラスチックス(株)を連結の範囲に含めたことや、円安の影響などが上回り、増収となりました。

営業利益
グラフ:営業利益5年棒グラフ

円安に加え、ポリカーボネートの採算改善や電子材料の需要回復などが増益要因となったものの、前期に好調であったポリアセタールの市況下落や、メタキシレンジアミンや芳香族アルデヒドなどの販売数量減少などにより減益となりました。

経常利益
グラフ:経常利益5年棒グラフ

メタノール市況の下落や、トリニダード・トバゴのメタノール生産会社における減損損失の計上、ベネズエラのメタノール生産会社において前年同期に計上された繰延税金負債の取り崩しによる一過性利益の剥落などにより、持分法損益が悪化したことなどから、減益となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益
グラフ:親会社株主に帰属する当期純利益5年棒グラフ

三菱エンジニアリングプラスチックス(株)の連結化に伴う段階取得差益の計上などが増益要因となりましたが、経常利益が減少したことなどから減益となりました。

セグメント情報

基礎化学品

グラフ:グリーン・エネルギー&ケミカルの売上高構成比・経常利益構成比円グラフと売上高2年棒グラフ、経常利益2年折れ線グラフ
  • ※ 円グラフは、その他の事業及び調整額を除いて掲載しています。
  • ※ 2024年度、組織改定により「基礎化学品事業」は「グリーン・エネルギー&ケミカル事業」へと改称されました。

メタノールは、市況が前年同期に比べ下落したことや、持分法損益の悪化などにより減収減益となりました。
メタノール・アンモニア系化学品は、アンモニア等の市況下落などにより減収となりましたが、ホルマリン系事業の構造改革による採算改善などにより増益となりました。
エネルギー資源・環境事業は、発電用LNGの販売数量が減少したことなどが減収要因となりましたが、ヨウ素の販売数量増加及び市況上昇などにより前年同期並みの損益となりました。
ハイパフォーマンスプロダクツは、海外顧客の需要低迷により、メタキシレンジアミンや芳香族アルデヒドの販売数量が減少したことなどから減収減益となりました。
キシレン分離/誘導品は、高純度イソフタル酸(PIA)や無水フタル酸など製品全般の販売価格下落により減収減益となりました。

機能化学品

グラフ:機能化学品の売上高構成比・経常利益構成比円グラフと売上高2年棒グラフ、経常利益2年折れ線グラフ
  • ※ 円グラフは、その他の事業及び調整額を除いて掲載しています。

無機化学品は、半導体向け薬液において、原燃料価格や輸送費の上昇等を販売価格へ転嫁したことなどにより増収増益となりました。
エンジニアリングプラスチックスは、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)の連結化により増収となったことに加え、高付加価値品の販売増等によりポリカーボネートの採算は改善しましたが、ポリアセタールの市況が下落したことなどから、全体では減益となりました。
光学材料は、光学樹脂ポリマーの主用途であるスマートフォンにおいて、新機種の生産が立ち上がった第2四半期以降、需要の回復基調が続いた結果、増収増益となりました。
電子材料は、主力の半導体パッケージ用BT材料において、スマートフォン向け材料やPC向け材料の需要が回復したことなどから増収増益となりました。
「エージレス®」等の脱酸素剤は、国内食品用途における巣ごもり需要の反動や、原材料価格の上昇等がありましたが、円安による輸出価格改善影響等もあり、前年同期並みの損益となりました。