Human in the Loop Machine Learningにより プラント腐食配管の外観検査システムを構築

2022年3月10日

 三菱ガス化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:藤井 政志、以下、当社)は株式会社ABEJA(本社:東京都港区、CEO:岡田 陽介、以下、ABEJA)と協業し、AIと人との協調によりオペレーションを遂行する「Human in the Loop Machine Learning」(人間参加型機械学習)を適用したプラント腐食配管の外観検査システム(以下、本システム)を構築し、2022年1月より、新潟工場で運用を開始いたしました。
 また、両社は2022年1月に、「Human in the Loop Machine Learning」を活用したプラント運転に関連する発明について共同で特許を出願しました。

 当社は、中期経営計画「Grow UP 2023」初年度である2021年より、デジタル技術を使った生産部門や間接部門の業務効率化と最適化を図る「SMART MGC」プロジェクトをスタートし、生産部門においては従来の手法では実現が難しかった高度な安定・安全操業を目指す「SMART FACTORY」の実現に着手しています。工場の業務革新の一つとして、AIを用いた本テーマは重要な取り組みと位置付けています。

 これまで新潟工場における化学プラント配管の外部腐食検査は、運転担当者が腐食配管の画像を撮影し、保守担当者が画像を見て対策を判断していました。腐食配管の放置は漏洩等の重大な事故につながるおそれがあり、検査の抜け漏れ防止が最も重要との思想から、撮影する画像は膨大な枚数になり保守担当者の負荷も多大なものでした。人の判断支援にAIを活用できれば負荷を軽減できるのではないかと期待し、外部腐食配管の目視検査業務に関して、ABEJAとともにAIを用いた画像診断技術の開発に着手しました。

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 まず、熟練者が腐食度合いを判定する方法を標準化し、AIモデル構築のための指標化を行いました。生産現場では、データが不十分であったり発生する問題の定義があいまいだったりすることがAI実装の課題の一つですが、当社とABEJAはこの課題に対応するため、人がAIの精度を補完し共にシステムを成長させることで実運用を即座に開始できるよう、「Human in the Loop Machine Learning」のアプローチを盛り込みました。具体的には、運転担当者が腐食画像を撮影し、AIは腐食箇所の特定と腐食度合いの判定を行い、AIの判定結果が間違っていたら保守担当者(熟練者)が修正し、AIが再学習を行う方法という業務フローです。

 本システム運用の開始により、新潟工場での検査業務にかかる作業量を約50%省力化できました。なお、本内容は、一般社団法人社会実装推進センターの産業保安高度化推進事業費補助金事業に採択されております。

 当社は、引き続き本システムの運用を行いAIモデルの改善を進めるとともに、「SMART FACTORY」の実現に向け取り組んでまいります。

※「Human in the Loop Machine Learning」(人間参加型機械学習)とは、AI を活用したシステムに人が介入し連携することで、 より高い精度、効率的なAIシステムの運用を目指すAIのアプローチです。

以 上

お問い合わせ先

三菱ガス化学株式会社
総務人事部広報グループ
TEL:03-3283-5040

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