「環境循環型メタノール構想」による脱炭素社会への取組み

2021年3月30日

 三菱ガス化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:藤井 政志、以下、当社)は、当社新潟工場に既設のパイロット設備を用いて、今年7月より二酸化炭素(CO2)と水素を原料としたメタノール製造の実証実験を開始します。あわせて、大気へ排出されるCO2や廃プラスチックなどをメタノールに変換し、化学品や燃料・発電用途としてリサイクルする「環境循環型メタノール構想」を通して産業横断的な提携を進めることで、脱炭素社会や循環型社会の実現に向けた取り組みを進めてまいります。

CO2を含む多様なガスを原料としたメタノール製造技術

 メタノールは基礎化学品として幅広い用途を持ち、近年ではメタノールからエチレンやプロピレンへ転換する用途が伸長する他、カーボンニュートラル燃料として期待されている水素輸送媒体(キャリアー)として、さらには船舶燃料やボイラー燃料等のエネルギー用途へも展開が期待されています。当社は自社触媒をもとに長年培ってきたメタノール合成技術の蓄積及び海外で展開している製造拠点での操業経験、製造ノウハウを有しており、CO2と水素を原料としたメタノール製造技術の開発に早くから取り組んでおります。この度、新潟工場にあるメタノールパイロット設備を改造し、本年中に着手する各種試験や連続運転(CO2処理量:約1.5トン/日)を通じて、排出CO2や多様な原料ガスからのメタノール合成プロセス最適化など、技術課題の評価・検討を実施します。2022年内にCO2と水素からのメタノール製造技術のライセンス供与を開始する計画です。

 更にバイオマス等の非化石原料、ならびにプラスチック廃棄物等をリサイクル原料として利用した CO2を含む多様なガスからのメタノールの製造技術についても新規に開発を行い、技術確立を行います。2023年内にはこれらを原料としたメタノール製造技術のライセンス供与の開始を計画しており、実現へ向けた取り組みを推進していきます。

○「環境循環型メタノール構想」

1) 「環境循環型メタノール構想」の概要

 回収CO2、再生可能エネルギー由来水素あるいはリサイクル原料をガス化炉でガス化したもの(以下、ガス化炉ガス)を原料に用いたメタノールを環境循環型メタノールと定義します。この環境循環型のメタノールは化学品・プラスチック用途や、水素キャリアーとして発電や燃料用途に用いることができます。発電所などで排出されるCO2や廃プラスチック等をメタノールという形で再利用することで環境循環が可能となります。

2) 合成ガス製造技術の協業

 この環境循環型メタノール構想を実現する上で、エンジニアリング会社・水素プラント会社を含む企業との提携を通じてCO2分離・回収技術、再生可能エネルギーからの水素製造技術、ガス化炉ガス等の合成ガス製造技術の協業を図り、当社メタノール製造技術との最適な組み合わせを構築します。

3) 運転・メンテナンス技術支援サービス

 今回提案する製造技術ライセンス供与に合わせて、進化したデジタル技術(DX)を活用したプラント運転操作の自動化、遠隔からの運転支援システムを採用した技術支援サービスも提供することで、より安全で効率的な生産形態を提供できるように整備します。

4) 導入先との協業

 生産されたメタノールの有効活用や販売について、導入先となる大型のCO2排出源を所有する企業、自治体(発電関連・化学・石油精製・鉄鋼業界・焼却炉施設など)の要望に応じて柔軟に提案していきます。

 当社が提案するこれら脱炭素化や循環型社会のための総合的な取り組み(ライセンス供与、運転・メンテナンス技術支援サービス、製品引取)を行うことで、排出CO2の削減や資源の再利用を基盤とした産業横断的、官民が協力する取り組みを進め、新たな成長を促す産業構造や経済社会の変革に貢献してまいります。

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図:環境循環型メタノール構想

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写真:当社新潟工場 メタノールパイロット設備

以 上

お問い合わせ先

三菱ガス化学株式会社
総務人事部広報グループ
TEL:03-3283-5040

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