三菱ガス化学と地球環境産業技術研究機構、大阪・関西万博でDAC-CCUSモデルケースに向けた革新的環境技術で連携
2025年6月16日
三菱ガス化学株式会社
公益財団法人地球環境産業技術研究機構
三菱ガス化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:伊佐早 禎則、以下、MGC)と公益財団法人 地球環境産業技術研究機構(本部:京都府木津川市、理事長:山地 憲治、以下、RITE)はこのたび、2025年日本国際博覧会会場内のDAC装置で回収したCO2の一部について、受渡しに係る契約を締結しました。これは、両者が進めるCCUS社会実装に向けた取り組みの一部です。
両者は大気中から回収されたCO2について、地中貯留や循環型社会の構築を支える革新的な脱炭素技術の実用化を目指しており、これはDACによるCO2回収、CCS技術によるCO2貯留、そしてCO2を原料として利用(Utilization)したメタノール製造までを包括的に実施する、「CCUS」のモデルケースとして、日本国内でも先駆的な取り組みとなります。革新的環境技術の実例として、カーボンニュートラルの達成だけでなく、過去に排出されたCO2の削減も目指す「ビヨンド・ゼロ」の実現に向けた道筋を示します。
RITEは、大阪・関西万博においてDAC技術の実証試験を実施する(注1)だけでなく、この回収CO2を利用したCCS技術の開発・普及も支援しています。CCSは、回収したCO2を地中に安全に貯留することで、「ビヨンド・ゼロ」を可能にするネガティブエミッション技術として気候変動対策の重要な技術とされています。
RITEが主導する二酸化炭素地中貯留技術研究組合(注2)では、国内貯留層に適した大規模な貯留技術の開発を進めており、MGCも2021年に同研究組合に加入し、共にCCUSに関する革新的な技術検討を行っています。両者は、同組合における連携を通じてCO2地中貯留に関する技術開発を加速させ、CCSの早期社会実装の実現に貢献してきました。
今回の連携は、CO2の貯留から活用までを含めたCCUSについて、実現に向けた取り組みを推進します。MGCはCCS技術だけでなく、CO2や廃棄物を原料にメタノールを製造するCCU技術も開発し、このメタノールから化学品や燃料を製造して再利用する環境循環型プラットフォーム「CarbopathTM」を推進しており、今般大気から回収したCO2を地中貯留する可能性を検討するほか、メタノール製造に利用する計画です。
CarbopathTMは、温室効果ガス排出量の削減のみならず化石資源に頼らない製造プロセスに転換し、さらにメタノールから始まる資源の効率的な循環を作り出します。これはMGCグループの「社会と分かち合える価値の創造」という使命に基づいたカーボンニュートラルへの貢献と資源の循環を実現するための中核的な取り組みとして位置づけられ、MGCの技術力を基盤に社会システムを変革し、経済と環境の調和を目指しています。
MGCとRITEは、今後も高い専門性を結集させた共同検討を強化し、カーボンニュートラル社会の早期構築に向けた取組みをより一層推進していきます。
注1:NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が推進するムーンショット型研究開発事業においてDAC技術開発を実施しています。
注2:二酸化炭素地中貯留技術研究組合は、2016年に設立され、CCSの実用化を目指して研究を進める団体です。
以 上
[略号等の説明]
・DAC(Direct Air Capture、直接空気回収技術):大気中に存在するCO2を直接回収する技術
・CCS(Carbon dioxide Capture, and Storage、二酸化炭素回収・貯留):CO2を大気中に排出する前に回収し、地中貯留する技術
・CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization, and Storage、二酸化炭素回収・貯留・有効利用):CO2を回収する技術を基盤として回収したCO2を有効利用するか地中貯留する技術で、CO2削減のための総合的なソリューションとなる
・ビヨンド・ゼロ(Beyond Zero):カーボンニュートラルを実現し、さらに過去に蓄積したCO2を削減・回収することにより、地球全体の炭素収支を改善することを目指す概念
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