食品
食品包装や食品工場のカビや高気性菌の防止方法について
食品の変質・劣化には微生物の働きが大きく関わっています。
したがって脱酸素剤エージレス®を使用する場合には、微生物の種類や生育の条件などの特性、さらにその生育抑制法などを把握し、発酵・腐敗を防止する対策を講じておく必要があります。
食品のカビは、食べられなくなるだけでなくクレームの原因やブランド価値の毀損につながります。大切な製品とお客様を守るために脱酸素剤「エージレス®」をお役立て下さい。
カビの定義とは?
日々使われている「カビ」という名称は、実は正式名称ではなく「俗称」です。
カビは分類上「真菌」もしくは「菌類」に属しており「真菌」は細胞の核内にDNAを持つ人間と同じ「真核生物」に分類されます。
そのため、水分や酸素、栄養が必要という点では変わりありません。
この記事では分かりやすく「カビ」と表現します。
カビの発生条件とは?
では、具体的にカビの発生条件を見ていきましょう。
日本の気候や湿度は、カビの発生や発育の条件が揃っており、食品メーカーや流通小売業者、一般消費者の方々を悩ませています。
【カビの繁殖条件】
酸素が十分に存在する
パッケージ内の空気に酸素が含まれていると、真菌であるカビの発生原因となります。
MAP包装(ガス置換包装)など不活性ガスをパッケージ内に充填置換することで、品質保持期間(賞味期限)を延長する包装技術も確立していますが、パッケージ内を脱酸素状態にしなければカビはいずれ発生します。
MAP包装(ガス置換包装)とは?水分(水分活性値)
微生物は水分がなければ、生育できません。
対策としては、塩分濃度や糖度を上げることで、微生物が利用できる自由水の割合を少なくすることです。
水分活性値とは?食品と水分活性の関係について食品やホコリなどカビの栄養が豊富な環境
カビも真核生物である以上、栄養素が豊富な環境で増殖します。
特に個包装された食品パッケージ内に酸素が残っており、食品自体に水分が含まれている場合はカビの増殖の条件が揃ってしまいます。
気温が20〜30度
気温が20〜30度の常温は、カビが繁殖しやすい温度になっています。
製品の品質上、冷蔵保存や冷凍保存ができない場合は、湿度と酸素濃度でカビの抑制を図るケースが多いです。
pH(ペーハー)値が7.0(中性付近)
微生物の生育は通常、pH値が7.0(中性)付近で活発です。
pH値を低く(酸性)するか、高く(アルカリ性)すると生育しにくくなります。
食品に発生する主なカビの種類
アオカビ(ペニシリウム)とは
アオカビは、不完全菌の一種で地球上に幅広く分布しています。
常に空中に胞子が漂っているので、パン屋や餅などに生えやすいカビとして日常生活でも見かけることが多いカビです。
胞子は発芽すると基質中に菌糸を伸ばしてコロニーを形成します。
ゴルゴンゾーラなどのチーズ製造に用いられるのもアオカビの仲間です。
クロカビ(クラドスポリウム)とは
クロカビもアオカビと同様、我々の身近に見られるカビであり、色は深緑色をしています。
お菓子などの食品から、風呂場のタイルの隙間や壁に発生します。
麹黴(コウジカビ)とは
コウジカビとは、麹菌(きくきん)という呼び方もある、不完全菌の一種です。
味噌や醤油、日本酒などの発酵食品を作るために利用されいます。
人間にとって有用な菌もいれば、強い毒性をもつ麹黴も存在します。
水分活性値とは?食品と水分活性の関係について微生物の種類とエージレス®の関係
衛生物の種類 | 性 質 | 生育しやすい範囲(Aw) | エージレス®との関係 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
一般菌 | 食中毒菌 | |||||
好気性 微生物 |
カビ | 麹カビ 青カビ |
アフラトキシン産生カビ | 無酸素状態では生育できない | 0.80以上 | エージレス®で顕著に防げる |
好気性菌 | 多くのバチルス シュードモナス |
|||||
一般の酵母 | パン酵母 アルコール酵母 |
酵母の存在する方がよく育成するが低酸素温度でも生育できる | 0.88以上 | エージレス®では十分には防げない | ||
通性嫌気性菌 | 大腸菌 |
黄色ブドウ球菌 腸炎ビブリオ 病原性大腸菌(O-157など) |
酸素の存在する方がよく生育するが無酸素状態でも生育できる | 0.90以上 | エージレス®では防げない | |
微好気性菌 | 大部分の乳酸菌 | カンピロバクター | 低酸素温度で最も良好に生育する | |||
偏性嫌気性菌 | ビフィズス菌 | ボツリヌス菌 ウエルシュ菌 |
無酸素状態で育成する |
食中毒菌とは、直接人体に悪影響を与える微生物のことです。しかし、その他にも毒素を算出して人体に影響を与えるカビのような微生物もあります。
一般菌は直接人体に影響を及ぼさないものの、食品の劣化を促進します。
食品の鮮度保持の観点からすると、一般菌を含めた微生物の生育抑制が大切になります。
包装食品へのエージレス®の導入事例
ここで、脱酸素剤エージレス®でカビの発生・繁殖を抑えた事例を見ていきましょう。
水分依存型脱酸素剤「エージレス®FX」
丸餅にエージレス®FXを封入することで、アオカビの発生を防ぐことに成功しています。
同様に同じパッケージを使用しても、カビや好気性菌の防止に大きく役立ちます。
酸素検知剤「エージレスアイ®」製品詳細へ製品に関するお問い合わせ
機能化学品事業部門 脱酸素剤事業部
TEL:03-3283-4867 / FAX:03-3287-1785
この記事を書いた人
三菱ガス化学(株)
脱酸素剤事業部
脱酸素剤エージレス®【公式】Twitter
脱酸素剤「エージレス®」は、鉄が酸素と反応して錆びる(=酸化する)原理を応用して、MGCが世界に先駆けて開発しました。食品・医薬・工業など様々な用途に対し、品質を守る製品の開発を積極的に進めています
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