MAP包装(ガス置換包装)とは?エージレス®パックとの違い

食品

MAP包装(ガス置換包装)とは?

SDGs(持続可能な開発目標)から、フードロスへの関心が年々高まってきており、各企業では食品の品質保持、賞味期限の延長のため様々な取り組みを行っております。

代表的な技術としては、エージレス®パック、真空包装やMAP包装(ガス置換包装)が上げられます。

真空包装はハム・ソーセージのパッケージで長年慣れ親しんでいるかと思いますが、近年MAP包装(ガス置換包装)も広まってきており、各包装技術とエージレス®パックの違いを分かりやすく説明します!

真空包装とは?

単純にパッケージ内の空気を抜き取り、空気の絶対量を減らす包装方法です。

ハムやソーセージのパッケージではお馴染みですが、空気が全て無くなるわけでは無く、僅かな空気(酸素)は残ってしまいます。

MAP包装(ガス置換包装)とは?

MAP包装(ガス置換包装)とは、パッケージ内の空気を不活性ガスに置換する包装方法です。

真空包装は空気を減らすため、パッケージがシュリンクする(縮む)のに対し、MAP包装(ガス置換包装)では空気の容量を減らさずに酸素を減らすことが出来るため、中身の突き刺しや商品の見栄えを損なわずに包装することが出来ます。

現在では、食品だけでは無く医薬品など幅広い分野で活用される包装方法となっております。

不活性化ガスには、N2(窒素)、CO2(二酸化炭素)、O2(酸素)の3種類を主に使います。

パッケージ内の製品の特性によって、N2(窒素)、CO2(二酸化炭素)、O2(酸素)から2種類を選択する場合や3種類のガスの比率を調整することで、品質保持期間(賞味期限)を伸ばすことが可能になります。

※脱酸素剤を使用する場合、炭酸ガス・酸素での置換にはご注意ください。詳細は弊社営業へお問い合わせください。

英語ではModified Atmosphere Packagingと表記するため、単語の頭文字をとってMAP包装と日本では呼ばれています。

真空・MAP包装の問題点とは?

真空包装はパッケージ内の空気を減らし、MAP包装(ガス置換包装)はパッケージ内部の空気を不活性化ガスに置き換えますが、どちらとも酸素を完全に無くすことは困難です。

エージレス®と既存包装方法との違い

僅かに、残った酸素によっても食品の劣化は進みます。

例えば、カステラのようなスポンジ状の食品は中の空気を抜いたり、置き換えたりすることができないため、僅かに残った酸素がカビの原因や食品劣化の原因に繋がります。

下記表は、カステラでの青かび発生と酸素濃度の関係性です。

カステラの青カビ発生と酸素濃度(25℃)

試験区分 開始時の酸素濃度(%) 保存期間(日) 菌糸確認時の酸素濃度(%)
3 5 7 9 12 14 16 20
エージレス®パック 0.1以下 - - - - - - - - -
窒素ガス置換(99.9%以上) 0.1以下 - - - - - - + + 0.25
窒素ガス置換(97.5%) 0.5 - - - + + + ++ ++ 0.42〜0.49
窒素ガス置換(95%) 1.0 - - + ++ ++ ++ ++ ++ 0.99〜1.10
窒素ガス置換(85%) 3.0 - + ++ ++ ++ ++ ++ ++ 2.94〜2.98
対照(空気) 21 - + ++ ++ ++ ++ ++ ++  

試験方法:カステラに青カビを植えつけて、エージレス®パックと窒素ガス置換包装での青カビの生育抑制効果を比較した。包材はPVDCコートOPPを使用した。
注)エージレス®パックの酸素濃度は脱酸素状態になってからの濃度。
窒素ガス置換の( )内%は相当置換率を示す。
カビコロニーの発生状況:- 認められない、+ 認められる、++ 多く認められる

脱酸素状態(酸素濃度0.1%以下)でのカビ抑制効果は顕著です。

また軟包材(樹脂フィルム、容器)は時間や周辺の温度・湿度変化により酸素が透過します。

MAP包装(ガス置換包装)だけでは透過する酸素の影響を防ぐことができないため、時間と共に劣化は進みます。

エージレス®パックのメリット

エージレス®パックの使用例

エージレス®パックをすれば、空気中の酸素を残らず吸収できることと透過してくる酸素までも吸収し続けるため、時間が経っても酸素が無い状態を維持することが出来ます。

※樹脂フィルム・容器の酸素透過度によって持続時間は異なります。

エージレス®パックの作り方詳細へ

MAP包装(ガス置換包装)でも脱酸素剤エージレス®をご検討ください!

エージレス®S

真空包装に脱酸素剤エージレス®の併用はお勧めしません。

空気を減らすことで酸素の通り道を塞いでしまうため、エージレス®が十分に効果を発揮できません。

MAP包装(ガス置換包装)であれば、空気の通り道を塞ぐことはありませんので、脱酸素剤エージレス®との併用が可能となります。

僅かに残った酸素を取り切るため、置換率のバラツキを心配することも無くなります。

賞味期限延長でお悩みの方は、是非こちらの記事も参考にして下さい。

品質保持期限(賞味期限)延長には脱酸素剤「エージレス®」|脱酸素剤「エージレス®」コラム

製品に関するお問い合わせ

機能化学品事業部門 脱酸素剤事業部
TEL:03-3283-4867 / FAX:03-3287-1785

この記事を書いた人

三菱ガス化学(株)
脱酸素剤事業部
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脱酸素剤「エージレス®」は、鉄が酸素と反応して錆びる(=酸化する)原理を応用して、MGCが世界に先駆けて開発しました。食品・医薬・工業など様々な用途に対し、品質を守る製品の開発を積極的に進めています