脳の機能低下につながる「神経細胞死」の原因のひとつに、「酸化ストレス」があります。しかし、脳の中でも「短期記憶」などにかかわる海馬ではミトコンドリアが活発にはたらくため、神経細胞はつねに酸化ストレスに晒されています。
このテストでは酸化ストレスに対するPQQの「抗酸化作用」をテストするため、培養した神経細胞に薬剤を使った酸化ストレスを与え、脳の中の「酸化ストレス環境」を再現。「PQQを添加した細胞」と「添加しなかった細胞」で生存率のちがいを比べました。
下の図は、酸化ストレスの薬剤として6-OHDA(6-ハイドロキシドーパミン)を使用した場合、H2O2(過酸化水素)を使用した場合のそれぞれについて、テスト結果をまとめたものです。
PQQを「添加しなかった細胞」では酸化ストレスによって神経細胞が死に生存率が下がりますが、「PQQを添加した細胞」では生存率が回復しています。また「抗酸化作用がある」とされるビタミンCやビタミンEを添加した場合と比較しても、PQQが優位な結果が得られました。PQQのより強い抗酸化作用が、神経細胞の酸化ストレスを除去し、生存率を回復させました。
PQQの代表的なはたらきのひとつに、神経成長因子(NGF)の数を増やす「増強作用」があります。神経成長因子は神経細胞の進展や分化、生存や維持などにもかかわり、神経ネットワークの形成をうながすはたらきを持っています。
このテストでは、PQQがもつ神経成長因子「増強作用」の大きさを明らかにするため、培養時に「PQQを添加した細胞」と、「添加しなかった細胞」の神経成長因子産出量を比較。下の図のような驚きの結果が得られました。
「PQQを添加した細胞」が産出した神経成長因子の量は、なんと「添加しなかった細胞」の約40倍まで高まりました。神経成長因子が増強されると神経回路のつながりが良好となり、脳機能の改善にもつながりやすい、と考えられます。