加工法[ユーピロン・シート]接着~熱加工

ユーピロン・シートは熱可塑性樹脂であるため、加工性が優れていることも大きな特長です。

接着

接着には溶剤接着と接着剤接着とがありますが、ユーピロン・シートに対しいずれの接着法も適用可能です。

溶剤接着

溶剤接着はユーピロン・シート同士を接着する方法としては最も簡単で有効な方法のひとつであり、エチレンクロライド単独またはユーピロン数%溶かした溶剤で接着できます。このユーピロンを溶かした溶液を用いる方法は接着面が相当に粗い場合に有効です。

接着方法

  • 1.予備処理
    接着面が油等で汚れている場合には予めメタノールや中性洗剤等で洗浄します。
  • 2.接着
    接着面に注射器・ハケ等でエチレンクロライドを塗布します。表面はすぐに膨潤・溶解するのですぐに接着できますが、高い接着強度と共に耐熱性を要求される時にはエチレンクロライド塗布後に若干のオープンタイムを設けると有効です。接着したら加圧状態で室温中に5時間以上静置します。

注射器による溶剤接着

接着強さ

エチレンクロライドによる接着強さはほぼ一定(34MPa)です。接着面が形状が正方形に近い場合は面積20cm²以内、長方形の場合は巾10mm以内に抑えることが好ましいです。

他材料との接着

相手となる他材料がエチレンクロライドに溶ける場合(例:酢酸ビニル、塩化ビニル、塩ビ酢ビ共重合物、アクリル、ポリスチレン、セルロース系など)は互いに接着し得ます。
ただし、他材料の中に可塑剤や滑剤などが含まれていると、ユーピロン・シートの性質を劣化させたり、接着強度を低下させる原因となりますので、このような材料との接着は避けるべきです。

接着剤接着

ユーピロン・シートに適した接着剤の主なものは以下のとおりです。

接着剤の応力腐食性
商品名 タイプ 配合比 メーカー 室温 75℃
δc(mm) Rc(-) 判定 δc(mm) Rc(-) 判定
T4000W     ソニーケミカル 4.5 0.57 A 2.0 0.36 B
3MJA-7480     住友スリーエム 4.5 0.57 A 2.5 0.45 B
スコッチカル630(クロム)       4.5 0.57 A 3.0 0.58 A
TB1541X-25     スリーボンド 3.5 0.50 A 2.0 0.36 B
KE-109(A:B)   1:1 信越化学工業 4.5 0.57 A 3.5 0.62 A
スミテープN
(自己融着テープ)
ブチル系   住友電気工業 3.5 0.50 A 2.0 0.36 B
自己融着テープ     藤倉電線 3.5 0.50 A 2.0 0.36 B

打ち抜き・冷間曲げ・絞り

ユーピロン・シートは打ち抜き・冷間曲げ加工および絞り加工が可能です。加工方法に関しては、当社にお問い合わせください。

熱加工

熱加工法としては熱曲げ加工、曲面加工、フリーブロー成形などがありますが、ユーピロン・シートに対し、いずれの加工法も適用可能です。

一般的な注意事項

一般的に熱加工温度は150~200℃なので、加工前にユーピロン・シートを予備乾燥(120℃×4時間以上)する必要があります。

熱間折り曲げ

  • 1.加熱用棒状ヒーターは、熱の浸透力が強い遠赤外線ヒーター(セラミックヒーター)が適しています。
  • 2.曲げ可能な最小曲率半径≒シートの厚さ×1.5
  • 3.加熱距離が短い程得られる曲率は小さくなります
  • 4.曲げ加工部分には若干の熱歪が発生するので用途によってはアニーリング(120℃×2時間以上)して歪を除きます。
折り曲げ加工例
シートの厚さ(mm) 加熱条件 折り曲げ可能な最小曲率 (mm R) 図1折り曲げ加工の加熱法
加熱距離(cm) 加熱時間(s)
2.0 2 17 4
4.0 2 37 6
3 50 8
6.0 2 60 6
3 75 10
8.0 3 105 8
4 160 10
10.0 4 180 15

(使用ヒーター:遠赤外線ふく射セラミックヒーター
使用シート:予備乾燥なし

曲面加工

  • (1)プレス法
    加熱したユーピロン・シートを雄雌型の間に挟んで外力をかけて成形します。プレス型としては木型の上にフランネル、ビロード、スウェード、ラバー等を貼りつけたものを用います。
  • (2)自然放置法
    型とユーピロン・シートを加熱炉に入れ熱軟化したシートが自重で型に沿ってから炉から取り出し冷却します。型としては加熱され易く、冷却し易い材質を用います。

真空成形、圧空成形

成形加工
成形方法・特徴  
(1)ストレート成形
・底のコーナー部分が肉薄となる。
・あまり大きな絞り比のものは成形できない。
ストレート成形
(2)ドレープ成形
・底の部分が肉厚となる。
・絞り比が大きくなると厚さ分布が悪くなる。
ドレープ成形
(3)プラグアシスト成形
・厚さ分布はストレート成形に比べると良くなる
・絞り比が大きい成形に適する
プラグアシスト成形
(4)エア・ブロー成形
・厚さ分布はストレート成形に比べると良い
・深絞りの場合に適する
エア・ブロー成形

限界絞り比

しわ、破れ等の不良現象が発生しない最大の絞り比[(H:D=(深さ):(成形品の最大直径)]をその成形条件での限界絞り比といいます。
ゆえに、実際に商品化する場合には、限界絞り比以下で成形する必要があります。
限界絞り比とシート厚さの関係は図2に示すようになります。

シートの乾燥

  • (1)一般的に厚さ1mm以下のシートは乾燥しなくても成形できますが、季節・シートの保管状況によっては乾燥が必要です。長期間放置したシートの乾燥は図3を目安に実施してください。
  • (2)乾燥は熱風循環式乾燥機を用い120℃で4時間以上行います。

図2 限界絞り比とシート厚さの関係

図2 限界絞り比とシート厚さの関係

図3 シート厚さと乾燥時間の関係

図3 シート厚さと乾燥時間の関係

成形温度

  • シート面の温度は170~200℃が良好な成形領域です。
  • 加熱源としては赤外線ヒーター、パイプヒーターが一般的ですが、シート全面が均一に加熱されるように設計します。
  • 局部加熱を防ぐために、過熱部分を適当な金網でマスキングして加熱具合をコントロールすると良好な成形が出来ます。
  • 1.金型
    良好な外観と成形収縮率を小さくするためには、金型を100~120℃に加熱します。
  • 2.冷却
    通常は自然冷却で充分ですが、冷却時間の短縮のためには冷却ファンを用います。
  • 3.離用
    成形品が金型に粘着する場合にはシリコンオイルを金型に塗布します。
不良原因と対策
不良現象 原因 対策
発泡 乾燥不足 120℃で4時間以上乾燥する
加熱速度が速すぎる ヒーターのワット密度を小さくし、加熱速度を下げる
成形不完全 シート温度が低い 加熱時間を長くする。ヒーター強度を大きくする
真空速度が遅い 真空漏れの点検および真空ポンプ容量の検討
真空孔不足 真空孔を増す
金型温度が低い 金型温度を100~120℃にする
破れ 真空速度が速すぎる 真空速度を遅くする
局部的な過熱 金網でマスキングする
しわ シート温度が高すぎる 加熱時間を短くする
金型設計の不適 金型を修正する
型上部のRadiusが小さい Radiusを大きくする
離型不良 抜きデーバーが小さい 抜きデーバーを最低3~5°にする
アンダーカットが有る アンダーカットを無くするか、割り型にする
型表面の仕上げ不良 型表面を0.1µ程度に仕上げる
離型剤を使っていない シリコンエアゾールを使う
金型温度が低い 金型温度を100~120℃にする
くびれ ドレープ速度が速すぎる ドレープ速度を10~22cm/sにする
型上部のRadiusが小さい 型上部のRadiusを大きくする
成形温度が適当でない 適当な温度で成形する
ゆがみ ドレープ速度が遅い ドレープ速度を15~20㎝/sに上げる
冷却にムラがある 均一に冷却する
金型温度が低く歪が残る 金型温度を100~120℃にする
表面荒れ 加熱速度が速すぎる ヒータ強度を落とし、加熱速度を遅くする
金型温度が低い 金型温度を100~120℃にする
製品の厚みムラ 成形材料が板厚ムラ 良品を使用する
加熱が均一でない ヒーター強度の均一性をチェックする
クランプ力のムラ クランプ力を均一にする
プラグと金型の中心が合ってない プラグと金型の中心を合わせる

製品に関するお問い合わせ

機能化学品カンパニー 合成樹脂事業部
機能製品グループ TEL:03-3283-4797 / FAX:03-3283-4785